当流始祖屋嘉比親雲上(注1)(朝寄)は、尚敬王の側近、謡曲の師匠として音楽的才能を発揮し、謡曲によって得た知識と体験とにより、琉球古謡を参酌し、湛水親方(注2)から澤岻・新里・照喜名の各師匠を経て継承された歌道をとって三絃楽を改革し、又、新しく作曲して当流を打ち立て、支那楽譜を用いて初めて琉球声楽の楽譜を作り、豊原里之子(注3)親雲上及び仲田里之子親雲上に之を継承した。豊原里之子親雲上は、屋嘉比親雲上の歌道を正しく受け継ぎ、之を知念積高という音楽の大天才を養成して世に出した、特筆すべき人である。
知念積高は、豊原里之子親雲上に歌道を学び、音声曲節兼ね備わった音楽の大天才で、豊原師も「彼、歌道を伝えて吾に優れり。」と賞賛されたとのことである。
知念積高は、屋嘉比師編纂の楽譜を点検し、不備の箇所を整備し、なお自作による「花風」等を入れて工工四(注4)を編纂、当流を完成し、之を安冨祖親雲上、並びに翁長、野村両里之子に伝承した。
安冨祖親雲上は、知念師の歌道を正しく受け継ぎ、終始一貫当流の正派を守り、安室親雲上を後継者として厳格に養成した人である。
安室親雲上は、金武良仁を育て工工四を編集し現在の安冨祖流の基礎を築いた。
琉球古典音楽は屋嘉比親雲上以来当流と呼ばれて来たが、昭和2年(1927)金武良仁中心に安冨祖流絃聲会が設立され現在に至っている。
安冨祖に因んでカタカナの「ア」を図案化したもの、制作 末吉安久(昭和35年頃)
また、末吉氏は安冨祖流「楽祖の碑」も設計した。
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